今時は家賃って振込可か自動振替が多いと思うのですけど、BONBON家では、いまだに手集金しております。
といっても、BONBON家本宅、つまりBONBON母が住んでいる実家に隣接している古い昭和初期の長屋の人たちだけではありますが。
月末には、長屋の各家々の方々が、お家賃を持ってきてくれまして、「通い」に判子を押すのが習わしです。その際、とりとめのない世間話をしたりしながら、ご家庭にご異変はないか、探ったりするわけです。
これぞ大家!ってかんじですねえ。
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家賃の通い
「通い」というのは通い帳ともいいますが、「家賃金領収之通」という古めかしい通帳のことでして、「此通帳附込期限 年 月ヨリ 年 月迄満壱ヶ年 約定壱ヶ月金 定」という風に、物々しい文面が筆書きされております。
このネット社会の現代においても、タカ印紙製品という会社が作り続けておりまして、文房具屋で10枚120円で売っております。
BONBON母がBONBON家に嫁入してきた頃は、振込なんてのはなくて、この通いを持って、幼い私を後ろに乗せた自転車で、あっちこっちに集金しに回っていたそうです。私は覚えてませんが。
若い嫁は借家人から軽く見られるようで、滞納しているうえに文句を垂れる怖い人もたくさんいて、よく泣かされたという話。幼い子供を連れて行くと、いじめがちょっとマシになったそうな。
悪質な滞納者には、内容証明を出したり調停になったりで、弁護士さんのお世話になったことも度々で、大家業というのも気楽な家業ではなかったのですね。
家賃の振込のメリットとデメリット
今はその点、入居する前に家賃保証会社の審査もありますし、滞納があったら保証会社がすぐに動いてくれますので、楽になりました。家賃もほとんど振込ですので、月初は記帳に銀行へ行くだけです。確認だけならネットバンキングでもできますし。
自動引き落としなら、もっと楽ですし、保証会社が集金代行をしてくれたらもっともっと楽です。
きょうびは、退去の立会まで、一度も顔を合わせないこともあります。こうなると借家人との人間づきあいはほぼないわけでして、煩わしさがない代わり、感謝の気持ちもなくなりますね。なにかトラブルが起こった時、日頃の人間づきあいがないと、なあなあで済ませられなくなるかもしれません。
反対に、事務的に済ませられるというメリットもあるかもしれませんけど…
最近の傾向としては、大家さんと入居者のコミュニケーションも、賃貸住宅の魅力として、他の物件との差別化を図るべしという意見もあります。集金というのは、コミュニケーションのいい機会なわけですけど、時代にそぐわないですから、コミュニケーションの手段は、別に作っていく必要があるかもしれませんね。
話は変わりますが、三代目となると、かつての苦労を知らないので、先祖への感謝も足りなくなっていけません。
私は介護事業の経営で散々痛い目にあいましたので、事業の大変さは理解できますけど、じぶんちの不動産事業だけしか知らない三代目とか四代目って、外の世界の勉強もしないと怖いと思います。先祖の苦労を、自分の実力だと勘違いしてしまいそうで。
これが、零細印刷会社とか下請け金属加工業とかの三代目なんかだと、会社経営なんてイヤだ! と家を飛び出してしまうんでしょうけど。
私も自分の跡継ぎには、すんなり引き継がせないで、一旦は外の事業で苦労させようとおもいます。楽したらアカン。
よく不労所得のように思われる不動産投資ですが、株式投資とは違い、大家は不動産管理という事業でもあります。
このごろは、まったくの管理会社まかせ、物件所有者は、売り上げ報告を聞くだけ、ということも可能な時代になってはきておりますけど、オーナーさんという言葉は、「大家さん」というのとは、ちょっとニュアンスが違うのかな?という気がしております。
BONBON家も、管理会社に任せて、じょじょに大家さんからオーナーさんに変わってきてはおりますが、管理会社というのがBONBON父が代表の同族会社なもので、やることは同じなのであります。
ですので、まだ地に足の着いた地味な経営ができています。あんまり冒険はしないです。