二代目の悲劇という言葉があるそうです。
親から収益不動産を相続したものの、物件はボロくなっているし、相続対策はされてないし、自分はサラリーマンで経営はよくわからんし、税金はかかるわ、親族とは揉めるわ、おおわらわ。
古い不動産を手放すか、修理するか、建て替えるか、新聞広告で見かけた不動産屋に相談したら、環境にマッチしていないマンションを建てさせられてしまって、巨額の借金を背負い、一括借上のごまかしに気づいて、泣きを見る。
そんな二代目が多いそうです。
不動産事業でなく、どんな事業でも二代目というのは、辛い思いをするものですね。事業継承って難しいです。
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事業継承する前に、苦労、失敗体験をすべし
私の場合、三代目といってますが、一番古い物件は、ひいおばあさんが建てたものなので、実質的には四代目になります。
建てたのはひいおばあさんですけど、不動産賃貸業として実務に当たってたのは、おばあさんみたいなので、まあ、三代目でいいかな? 語呂もいいし、と思いまして、三代目を名乗っております。
二代目の私の母は、嫁入りしてきた次の日から、家賃回収の武者修行に出されたそうで、これがキツくて、涙の日々。
これも悲劇と言えなくもないですが、先代の目の黒いうちに、大家として鍛えられたわけです。下積み修業を経験してきたおかげで、うまい話に騙くらかされることもなく、地道に着実に資産を守り、三代目まで続いてきたのですね。
不動産業がわかってきた母は、アグレッシブに投資をしたくなったらしいのですが、先代の目の黒いうちは許されず、美味しい話をずいぶんたくさんフイにしたと、悔しがっておりました。
母が、アグレッシブな行動に移すようになったのは、おばあちゃんが具合が悪くなり、入院や退院を繰り返してきたころから。
古い長屋が都市開発区域にかかって、立ち退きと建て替えを乗り切ったことに自信を持ち、そこから勢いづいて父の退職金を頭金にしてビルを購入、さらに調子づいて、毎年のように区分マンションを買い集めて増やしていきました。
その頃の私は、サラリーマンとして、中古車販売に勤しんでおりました。会社の休みの日など、テナント募集の営業まわりをする母の運転手をしたり、仲介屋さんにカギを届けたりとか、細かい地道な業務には関わっておりました。
介護業を、始めてからは、忙しすぎてまるきり家業には関わってなかったですが、自分で始めた介護の事業に失敗して、家の仕事に戻ってきたというかんじです。
昔は、家の仕事に縛られたくなくて、自分の力でやっていくんだ!とか思って、事業を起こしてみたのですけど、失敗してわかる先祖のありがたみ。
三代目は身上潰すとか、売り家と唐様で書く三代目とかいいますが、降って湧いた遺産を食い潰すわけではないので、まあ、だいじょうぶでしょう。勉強もぼちぼちしてます。
売家と書く時は、収益をシミュレーションして、物件を買い替える時になると思います。
古いやり方を踏襲しているだけではダメ
三代目の仕事としては、古い物件の建て替えだと母からは言われておりますので、建て替えについても勉強中です。
建て替えるのであれば、時期を決めて、長い目で逆算して、アクションを起こして行かねばならないようです。空いてもリフォームしないとか、新たな募集しないとか。
もしくは、定期借家契約で募集し、建て替え時期には総員退去してもらう段取りをしておくとか。
ズルズルと今までのやり方を、踏襲しているだけではダメなようですね。
勉強しているうちに知ったのですが、頻繁に建物を建て替えるのって、日本くらいらしいです。ヨーロッパでは、何百年も前の建物が、いまだに使われていて、古いものほど値打ちがあるのだとか。アメリカでも、古い物件は減価償却期間が四年とかなので、節税のための投資物件としても人気ということです。
日本の場合は、耐震の問題があるので、耐震の調査してダメなら建て替えないとしょうがないですが、補強できるんなら、長く使うという手もあるとのこと。
東大寺とか、正倉院とか、古い建物はありますものね。京都の古民家などでも、200年、300年、もっているところもあります。
建て替えしないと決めたなら、何百年でも持たせるように、メンテナンスです。
古い物件は、借金もありませんから、家賃を下げて、満室キープ、たいして儲からないけど、社会貢献ということもできます。昭和の文化を、未来につなげていくことができます。
不動産経営は何のため?
不動産経営、大家業って、不労所得とか、手堅い投資という面もありますけど、自分の子孫のためという気持ちもありますし、社会貢献とか、文化の継承とか、そういう高尚な気分も持てるわけです。
こういう気持ちが持てるのは、三代目だからかなーという気はします。
FXとか株式投資は損したし、手堅く不動産投資でもするぜ! という、アグレッシブなビギナーとは、思考回路が違ってくると思います。
三代目というポジションをよくわきまえ、先祖に感謝し、後に続く人々のためにも、今後も真面目に、大家業に勤しんでまいる所存であります。