建替えコンサルタントは、あくまでもコンサルタントであり、実際に建物を計画して、建ててくれるのは、不動産会社です。
計画を作るのは不動産開発会社(デベロッパー)であり、建物を建てるのは建築会社(ゼネコン)です。
建替えは開発行為ではないのですが、こちらのマンションは、相当に大きく、都市開発に当たるほどの規模なので、小さい工務店とかデザイン事務所の手に負えるようなものではないです。
大手ゼネコンが計画から担当することも多いようですけど、我々は、デベロッパーにもゼネコンにも、広くお知らせして、協力事業者を募り、良さげなところを選びましょうという運びになりました。
そういう段取りを、トントンと進めてくれるのがコンサルタントなわけです。
このマンションの建て替えなら、手を上げてくれる会社は多くあるだろうという目論見。
なぜならば、不動産会社も儲かるからです。
まず、土地柄が良い。
市内でも人気エリアで、交通の要所であり、大概のものが揃っております。新マンションの販売には、苦労しないであろう。
そして建替えなのに、新築分譲販売ができるというのがミソです。
今の住人が、建替えたマンションに全員戻ってきたとしても、さらに一般販売ができるというのです。
どういうことかといえば、現在400戸の団地が、戸数を倍くらいに増やせるというのですね。
なぜかといえば、現在、広大な敷地を余裕たっぷり広々と、公園やら緑地やら何もないスペースやら、ぜいたくに配置しており、しかも各棟5階建てなので、ギュッと詰めて、ビュンと上に伸ばせば、もっと部屋数が増やせるのですね。
これがもし、最初からギチギチ詰め詰め、容積率を使い切っているようなマンションだと、部屋数を増やせません。
部屋を増やせず、前からの住人が住み替えるだけならば、たいした利益が見込めません。
建替えの主催者は、区分所有者でありますから、住み替えでボッタくられるような計画が認められるはずがないからです。
元からの所有者は格安で、利益は新たに一般分譲するお客様からとってちょうだい、という話をすすめることができるのであります。
ということで、このマンションを区分所有しているBONBON家はラッキーでした。
築50年のボロマンション、二束三文で手に入れて、建替えしたら転売で大儲け! と目論む人もあるかもしれませんが、儲かるには、けっこう条件があるのですね。
条件から外れているマンションには、デベロッパーもゼネコンも手を出しません。なんでもかんでも建替えできるわけではない、というのが現実なのでありました。
アーよかった!
と、この時点では呑気に構えておりましたが、新型コロナやらウクライナ侵攻やらは、この後に起こるのでありました。