事業協力者(デベロッパー5社によるJV)が決まると、いよいよ事業が動き出すわけですが、建替え決議が可決するまでは、未確定のまま動くことになります。
新しいマンションの計画を作るだけでも、多くの人が動き、何千万も投入されるのです。その費用は、JVが負担しています。決議が通れば、事業費となり、立て替え費用となりますが、決議が通らねば、すべてパー。
慎重にも慎重を重ねて、確実に合意形成を図らねばなりません。JVはもちろんですが、マンション組合側も、同じです。
これまでは、建て替え委員会が主導して、全体に対して、フワッとした情報を伝えたり、意見を聞いてきましたが、ここからは、専門知識を持つJVのスタッフ達が、役割を分担して、説明会を開いたり、区分所有者一人一人にアプローチしていくことになりました。
すると、勘違いが生まれてくるのですね。
この建て替え事業は、誰がしているのか、根本的なところを理解しない人が、多くなったのです。
いわずもがな、建替えは、マンションの皆が意見をすり合わせて、協力してやっていくものです。
しかし、素人の年寄400人が集まったところで、それは不可能ですから、専門家にお願いして協力してもらって、なんとか事業が実現します。
それをですね、悪徳不動産屋が寄ってたかって、いたいけな年寄りを騙して、資産を奪おうとしている!と解釈している人が、いっぱいでてきたんですよねー!
会議で怒鳴り散らす人とか、怪文書をまき散らす人とか、現れてきました。
これまで説明会でも総会でも、何回も説明してきたっていうのに、なんでわからへんねん。
理解力も記憶力もないのんか! と怒りを感じることが何度もありました。
しかし、理解力も記憶力もないのです。本当に。
まずその地点に立たぬことには、委員長は務まらないと思い知らされました。
気分は完全に、マトモに話の通じるJV寄りになってしまいますが、委員長はそれではいけないのです。
私は区分所有者側の代表です。
他の頓珍漢な組合員を説教したくなりますが、それをやると、JVから裏金もらっているグルやろ!といわれかねませんので、中立を保ち、理性的に、皆の意見を、愚にもつかぬ取るに足りぬ意見でも、遮ることなく、出し尽くさせ、よく聞いて、その上でちゃんと伝わるように説明して、人の理性と情を動かす立場に立たねばならぬと、悟りました。
おかげで私は、実に鍛えられました。