5月にBONBON家が区分所有しているマンションの管理組合の総会がありました。
特別決議にて、管理規約を改正して民泊禁止にすることになりました。
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マンションの民泊を禁止するには管理規約に規定する必要があります
マンションの一室が、いつのまにやら民泊施設になっていて、入れ代わり立ち代わりやかましい外人観光客がやってきて、騒いだりゴミを散らかして問題になっているという話は、ちらほら聞きますね。
マンションの住人である区分所有者に、民泊を容認したい人はいないだろうと思ったとおり、ほぼ全員が賛成でしたが(議決権の4分の3以上の賛成が必要)、一人、意見を言う人がおりました。
マンションの民泊は、法律で禁止されているのに、どうして特別決議なんかする必要があるんだ?というご質問。
これは、法律をよく理解していない、というか、説明をきちんと読んでいない、聞いてない人ですね。頑固頭の年寄りの多い総会では、理解してないのに文句ばっかり言う人って、ちょいちょい見受けられます。
わからないことを聞くのはいいことだと思いますが、自分の思っていることと違っていると、なんだか攻撃的になります。
喧嘩腰になるもんで、説明する方も大変だ。
マンションの民泊は法的にどうなのか?
法律で禁止されているというのは、住居専用地域では旅館業(簡易宿泊所も含まれる)を営むことはできないということです。
これは旅館業法によります。
申請しても許可されません。違反すると懲役刑と罰金刑があります。
旅館やホテルを建てられるのは、専用がつかない住居地域、商業地域、準工業地域です。
その地域がなんにあたるのかは、国土交通省が決めています。
正確を期すなら役所で聞いてほしいですが、用途地域マップでも調べられます。
>>用途地域マップ
総会で質問したおじさんは、こちらの法律のことが頭にあったのだと思われます。
住宅宿泊事業法(民泊新法)により民泊ができるようになりました
2018年6月より、新しい法律「住宅宿泊事業法」が施行されます。民泊新法とも呼ばれます。
民泊っていうのは、許可をとった旅館(簡易宿泊所も含まれる)ではなくても、有償でお客さんを泊めてもいいですよという法律です。許可制ではなくて、届出制です。
用途地域は関係ありません。建物の安全基準なども緩いです。
これは、海外のお客さんを、どんどん日本に呼べるようにという、国の方針によりできた法律と聞きました。
つまり、この法律ができたことによって、モグリじゃなくて、正々堂々と民泊を営業できるってことになったのですね。
いちおう年間180日まで、という縛りはありますが、民家だろうとマンションだろうとアパートだろうと、民泊を始めても良い、ということになるのです。
(他にも、国家戦略特区ならOKという話もありますが、その話は今回置いておきます。)
マンションでも民泊できます
この法律によると、マンションのお隣さんが、いつのまにやら外人観光客が出入りして寝泊まりしても、法律違反じゃないということになります。
だからこそ、マンションの規約で禁止とする必要があります。
民泊新法では、地方自治体の条例や、マンションの規約、大家さんとの契約で更にキツイ縛りがあるなら、そちらが尊重されます。
法律で禁止されていなくても、大家がダメと言ったらダメなのです。分譲マンションの場合は、管理組合でダメと決めたら、ダメってことです。(区分所有者より管理組合のほうが上です。)
で、決めたことは書いておかないといけません。
そのために、総会で決議をとって管理規約を改正するという手続きを踏む必要があるのですね。
手続きといっても、通常総会で特別決議をとるだけのことです。
役員でもない一介の区分所有者が、書類を作るだの何かめんどくさい作業を受けるわけでもないのに、先程のおじさん、何をわーわーいうことがあるんだと思うのですが、もしかして、民泊で稼いでやろうと、もくろんでいたのかも。
市の条例で民泊は規制されます
民泊は、海外客を日本に呼んで、お金を使っていただこうという、経済効果を期待する制度です。
しかし、地域住人の生活環境をぶち壊すおそれも否定できません。
そこらへんの考慮というか縛りは、自治体の条例で決められます。
条例では、民泊新法での年間180日まで、という縛りの他に、営業は何月から何月までだけとか、土日祝だけとか、管理人が10分以内に駆けつけられないといけないとか、近隣住人の承諾を得なければならないとか、いろいろ細かい決まりが作られています。
そんなわけで、自宅の空き部屋がもったいないから、旅行者にでも貸してやるか、外人と仲良くなれたら楽しそうだし、という分にはいいですけど、設備を投資して、airbnbに登録して、商売として儲けようと考えると、条例を遵守していたら、無理! ということになります。
どちらのマンションも、防衛に動くことでしょうし。
そんなわけで、住宅宿泊事業法が施行されると、民泊を諦める事業者がたくさん出てくるだろうと予想されています。