コンサルタントのZ社長が、早い段階から改革を提案されていたのが、総会での決議の取り方です。
マンション管理組合の総会に参加されたことのある人ならご存じでしょうが、予算の承認とか、役員交代の承認とか、毎年やるような普通決議は、区分所有者の半数が、議決権を行使して、そのうち過半数が賛成なら可決されます。
つまり、1/4が賛成すればいいって話です。
議決権行使とは、総会に出席して挙手するほか、議長に一任との委任状を出すことが多いでしょう。
Z社長が言うには、建替え決議は、これではアカンってことなのです。
建替えは特別決議です。総会の参加者の何分の何ではなく、全区分所有者、議決権の、4/5の賛成が必要です。確実に意思表示をしてもらわねばなりません。
議長任せはダメです。規約で議長は理事長とするマンションもありましょうが、総会当日に議長を決める体にしているマンションもありましょう。
その日まで議長が誰かわからんのに、議長一任って、無責任すぎるやろ! ってことです。
出席して意思表示するつもりでも、コロナに感染するかもしれないし、なんの事故があるかもわかりません。不確実な要素は排除せねば。欠席しても、議決権は行使してもらわねばならぬのです。
みんな出席できたとしても、挙手だと、数え間違いも起こります。
委任するにしても、委任される人の資格も明確にしておく必要があります。
仲良くしている隣りの棟の住人の息子とか、賃貸で貸している入居者は、アカンのです。
区分所有者の資産に関する話ですから。
相続権のある人間でなければ、あとで大いに揉めることが予想されます。
ですので、一律、書面による議決権行使です。
総会に参加する人も欠席する人も、総会までに、議決権行使書に賛成か反対か記入して、提出です。
総会当日に、説明を聞いて、賛成反対を変更したい人は、あらためて議決権行使書を出し直すことができる仕組みにします。委任された人も出し直しできますが、区分所有者との関係をキッチリと裏取りしておきます。
ここがいい加減だと、揉めて裁判になった時に、決議が無効になってしまう恐れがあるからです。
そんなわけで、来るべき建替え決議の前にも、臨時総会の特別決議は何度もあるし、年に一度の通常総会であっても、リハーサルを兼ねて、このシステムを導入することになりました。
だいぶんめんどくさいですけど、大事なことです。
これ以降、他のマンションの管理組合から、総会のお知らせが来るたび、なんてデタラメなんだ、不完全だ、ちゃんとするんだ! という提案書を、私は送りつけるようになったのであります。
管理会社からすれば、余計なお世話だ、うるさいなーと思われたかもしれませんが、それでも一件、改善されたマンションがありまして、私の提案が効いたんかな?と満足しております。